エレベーターの会社から宝飾業界に転身
北海道の釧路に生まれ育った佐藤康秀さん。工業高等専門学校を卒業した後、東京でエレベーター管理の会社に就職しました。「毎日必要で人の役に立つ分野で働きたいと思い、父も建設関係の仕事をしていた影響もありエレベーターの仕事を選びました。新設のビルやマンションに新しくエレベーターを取り付ける仕事は、やりがいもありました」。
仕事を変えたのは、結婚がきっかけ。「妻が山梨の出身で、実家の近くで子育てができる環境で暮らしたいと地元の企業を探し、株式会社光・彩に転職しました」。宝飾の世界に興味を持ったのには、結婚指輪を選んだ時の体験も関わっているそう。「たくさんのブランドや店を見て回った中で、個人でオーダーを受けてくださる方との出会いがあり、オリジナルの指輪が納品された時の感動が印象に残っていたので、ジュエリーをつくる仕事に携わってみたいと思うようになったのです」。
ジュエリーとジュエリーパーツの製造でトップシェアを誇る光・彩に入社し、一からジュエリーについて学ぶ日々が始まりました。「エレベーターも大きいですがセンサーの調整などはミリ単位なので、ジュエリー製作の緻密な作業には慣れることができました」。
商品開発と製作を繋ぐ要になりたい
晴れた日には甲府盆地の先にそびえる富士山までを見渡せる環境で、原型の開発や機械のメンテナンスから仕事を始めた佐藤さん。「お客様に届く製品に携わる仕事がしたいと希望を出して、2023年の春から製造の部署で働くようになりました」。
現在は仕上げと組立加工を担当。
「コインを枠にセットする伏せ込みも神経を使いますが、極めたいのは、磨きです。そして最終的にはすべての工程を経験し、素材から完成まで一人でできるようになりたいですね。製造に携わる人間は全員、技能検定の3級は取るよう会社がサポートしてくれるのですが、次は2級を目指します」。
イノベーティブな社風を受けて部署と部署を繋ぎ、新製品を開発する仕事にも携わりたいと、夢は大きく広がります。「納品先のニーズに応えてパーツは多様化していきますが、会社自体が変化に対応していく気風なので、新しいことに挑戦していけたらと思います。開発の部署にいた経験も生かし、開発と製作の現場で一緒につくり上げていくことができたらと思っています」。
(写真)コインバーをペンダントの枠へ伏せ込む作業。広い面積に均一に力を加えるには経験を要する。
