夢に掲げた技能五輪国際大会出場
美術系の高校時代から金属工芸の部活に参加していたという青木優心さん。
「オブジェのような大きい作品よりもネックレスやリングをつくるのが楽しいと感じていたところ、先生にジュエリーの専門学校があるよ、と教えていただき、ヒコ・みづのジュエリーカレッジ大阪に進みました」。
技能五輪には在学中に挑戦。2年生で銅賞、3年生で金賞に輝きます。
「金賞をいただいたことで、次は国際大会に挑戦したい、と考えるようになりました。そこで、経験者の先輩がいて出場の支援をするというお話をいただいた地元・大阪のアトリエ・アルに就職したのです」。
2年に一度開催される技能五輪国際大会は世界中から選び抜かれた63種ものジャンルの職人が技術を競うもの。青木さんが出場した第46回はコロナ禍のロックダウンの影響で本来行われる予定であった上海での開催が中止され、15の国と地域での分散開催の形で、貴金属装身具職種は2022年10月にスイスのジュネーブにて行われました。
「技術面に加え、作品に課題の要素を盛り込むデザイン力も審査されます。今回の課題は“ジャポニズム”と中国の“剪紙”と呼ばれる切り絵アート。競技の日の夜にしっかりとつくりを固めておき、デザインを形にしていく時間を多くとるペース配分を心がけて臨みました」。
世界を舞台に手に入れた友情と自信
技能五輪国際大会では通常、日本人選手団として職種の枠を超えた団体行動が基本ですが、コロナ禍の今回は分散開催だったため、他国の選手と交流する機会が多かったことも財産になっていると青木さんは語ります。
「使っている道具の違いやデザインの個性など、お互いが興味津々。言葉が通じなくてもスマホの翻訳機でコミュニケーションを取り、大会後は選手だけでチーズフォンデュを食べに行きました。親交は帰国後も続いていて、先日はスイスの選手の方が来日したので大阪を案内しました」。
国際大会への出場が大きな自信に繋がったという青木さん。
「私の場合、大会に出場したのは優勝したいからというよりも練習を通して技術を向上させたいという思いがありました。事前の練習はしんどいですが、興味のある方にはぜひ挑戦してほしいと思います。一方で仕事場ではまだ三年目ですので、仕事の中で全体の技術を底上げして、任せてもらえる仕事を増やしていきたいと思っています」。